行動ターゲティングを5タイプに分類

 行動ターゲティングに関する国内の動きが活発化し、様々名タイプの行動ターゲティング技術・サービスが発表されていますが、これらを、「行動把握サイト」「広告掲載サイト」「行動する人の推定」という3つの軸で、思い切って5つのタイプに分類してみました(6月6日の日経BP社主催 Net Marketing Forum で講演した「行動ターゲティング広告の設計手法と活用事例」からの抜粋です)。前者3つのタイプは、メディア・サイトでの行動履歴を活用するタイプで、後者2つは企業サイトでの行動履歴を活用するタイプです。

1.BT Ad (単独サイト)
Bt_ad_2  このタイプはトラフィックの大きいポータル・サイト等だけで実現できるものであり、ヤフーなどの行動ターゲティングがこれにあたる。メディア・サイトにおいて、サイト訪問履歴や検索履歴などにより、人を「自動車に興味がある人」などのよな汎用性のある「広告カテゴリ」に分類し、その人が広告掲載サイトに再来訪した際に広告を掲載する。
 対象となる人は「潜在顧客」であり、広告単価は従来型のターゲット広告と比べ同程度以下の価格帯のものが多い。すでに従来型のサイト指定広告(指定サイト来訪者に対して、そのサイトにおいて広告を掲載するもの)の需給バランスが需要過多の場合、その指定サイトを訪問した人が他サイトの広告掲載面を訪れた際に行動ターゲティング広告を掲載することで売れ筋広告商品を拡大することができる。

2.BT Ad Package (複数サイト)
Bt_ad_package 前述の「BT Ad」の場合、かなり大きなポータル・サイトでないと、行動把握サイトと広告掲載サイトの両方を来訪する人数が十分でない場合が多いため、広告販売に適した広告在庫量を確保できない場合が多い。これに対して、複数のサイトが「共通の広告カテゴリ」を定義して、複数の行動ターゲティング広告在庫をまとめて販売することで販売に適切な広告在庫量となる。このタイプでは、広告掲載に活用する行動履歴はサイトを超えては活用しないので、各社での行動履歴収集ポリシーは単独サイトの時と変わらない。同じサイトでも、広告カテゴリーにより広告在庫量が違うので、広告カテゴリに対する需給バランスにより、サイト内の広告カテゴリ毎に前述の「BT Ad」と併用することも考えられる。

3.BT Ad Network (複数サイト)
Bt_ad_network  前述の「BT Ad Package」では、「共通の広告カテゴリ」は定義するものの、広告掲載時に参照する行動履歴はあくまでもサイト毎に閉じたものであったが、さらにグループ企業内の複数サイトや提携関係にある複数サイトが一緒になって、行動把握と広告掲載を行うのがこのタイプである。これにより、「BT Ad Package」の時よりもさらに多くの広告在庫量を確保できる可能性がある。i-Media Drive の impAct がこのタイプに入る。また、サイバーウィング社が提供する行動ターゲティング広告配信システムでは、上記の3タイプすべてに対して柔軟な広告配信制御が可能である。………<続きを読む>………

CW-BTA

4.Retargeting
Retargeting  前述の1~3のタイプでは、メディア・サイト上の潜在顧客の行動履歴を活用したものであったが、本タイプの Retargeting では、ECサイトや企業サイトに訪問してきている「見込み客・顧客」の、より利益に直結する行動を活用することで、人数が少なくても効果の高いターゲティングを行うことができる。例えば、サイトにおける「商品棚閲覧/ユーザー登録/カート追加/購入」を行動履歴として活用する。一旦、ECサイトや企業サイトに訪問した人が後にメディア・サイトを訪問した際にサイトへ効果的に引き戻す広告を実現する。例えば、特定商品棚を見たが離脱した人に対して同じ商品カテゴリでの割引販売広告を行ったり、PC購入者に対して周辺機器の広告を出すことなどがこれにあたる。サイバーエージェント社の MicroAd などがこのタイプに入る。

5.BT On-site Optimization
Bt_onsite_optimization  前述の「Retargeting」では、広告掲載がメディア・サイトであったのに対し、このタイプでは、企業サイトやECサイトなどで一旦行動把握した人が再来訪した際に、その履歴に基づいた適切なプロモーション画像(自社サイト内なので広告とは言わない)などを掲載することで、自社サイトにおける見込み客・顧客のコンバージョン率を向上させる。再来訪性の高いサイトで効果を発揮する。スパイスボックス社の Site+1 などがこれにあたる。LPOと少し似ているが、LPOが静的な分析による見込み客全体に対するサイト最適化なのに対して、このタイプのものは見込み客・顧客一人一人に対する動的なサイト最適化である。

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行動ターゲティングを5タイプに分類 への5件のフィードバック

  1. デジタルな広告たち のコメント:

    行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting)

    バナー広告などのWeb広告において、従来「ターゲティング広告」というものは、媒体の内容により「広告掲載面を分類」し、その広告掲載面に適した広告を配信するにより、広告効果を向上させようというものでしたが、「行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting)」では、Web視聴者の行動履歴をもとに「Web視聴者を分類」し、そのWeb視聴者に適した広告を配信するものです。…

  2. デジタルな広告たち のコメント:

    「リターゲティング(Retargeting)」 ~もう一つの行動ターゲティング広告~

    最近、「リターゲティング, Retargeting, Behavioral Retargeting」というキーワードで呼ばれている行動ターゲティング広告が徐々に話題になってきています。「リターゲティング」では、主に、広告主サイトやECサイトを訪れた際の、より”消費”に近い行動履歴を活用して、サイト訪問者が一旦そのサイトを離れた後、広告掲載可能な媒体社サイトに訪れた際に、ユーザーのピンポイントな興味にあった広告などを掲載し、サイトへの再訪や購入を促すものです(前回のサイト訪問時に閲覧していた商品に対す…

  3. デジタルな広告たち のコメント:

    サイバーウィング、行動ターゲティング広告配信サービスCW-BTAを開始、動画CMにも対応

    3月15日に、サーバーウィング社から”行動ターゲティング広告配信基盤サービスを開始~国内初、行動ターゲティング動画CM配信も実用化~”のプレス発表をしました。翌日、日経産業新聞に「サイト利用者の行動判断 広告表示最適に」と見出しで、日刊工業新聞には「視聴者履歴で広告配信」というタイトルで記事掲載されました。…

  4. デジタルな広告たち のコメント:

    NET Marketing FORUM で「行動ターゲティング広告」関連の発表します

    東京ミッドタウンで開催される日経BP社主催カンファレンス"NET Marketing FORUM" で「行動ターゲティング広告の設計手法と活用事例」というタイトルで発表します(6月6日)。サイバーウィング社で提供している行動ターゲティング広告配信アウトソーシング・サービスを利用した様々な行動ターゲティング広告についてご紹介できればと思います。…

  5. デジタルな広告たち のコメント:

    BIGLOBE大型ディスプレイ広告「ブランドゲート」登場、行動ターゲティング広告でも活用可

    来年1月から、BIGLOBEのジャンル別サイトで、大型ディスプレイ広告「ブランドゲート」が導入されます。「ブランドゲート」は、横300×縦250ピクセル、最大1.8MBという大型・大容量な広告仕様で、30秒までの映像広告にも対応できます。…

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