「リターゲティング(Retargeting)」 ~もう一つの行動ターゲティング広告~

 NEW!!  行動ターゲティングを5タイプに分類  ★NEW!!

 最近、「リターゲティング, Retargeting, Behavioral Retargeting」というキーワードで呼ばれている行動ターゲティング広告が徐々に話題になってきています。

 今年度に入り、国内でもヤフーDACが、媒体社サイト上での閲覧履歴をもとに、視聴者の属性をカテゴライズしてターゲティング広告を行う「行動ターゲティング広告」を開始しています。これらは、リーチがそこそこ大きく、カテゴリ媒体への広告掲載と同様の効果が期待できるターゲティング広告手法です。

 一方、「リターゲティング」では、主に、広告主サイトやECサイトを訪れた際の、より”消費”に近い行動履歴を活用して、サイト訪問者が一旦そのサイトを離れた後、広告掲載可能な媒体社サイトに訪れた際に、ユーザーのピンポイントな興味にあった広告などを掲載し、サイトへの再訪や購入を促すものです(前回のサイト訪問時に閲覧していた商品に対する期限付きディスカウント・セールを遡及するなど)。このタイプの広告は、効果はかなりよいことを期待できますが、対象者は相当絞り込まれます。典型的な流れは、「サイト誘導広告→サイト訪問→サイト内行動→リターゲティング広告→サイト再訪→購入」ということになります。

 上記では、典型的なリターゲティング広告について、記載しましたが、実際には、まだ新しい概念であり、人により「リターゲティング」のとらえ方の幅が違います。いくつかの文献を参考にしながら「リターゲティングに使える広告主サイト内行動履歴」、「リターゲティングで気をつけるべきこと」、「リターゲティングでの検索行動履歴の活用」という観点で整理してみました。………<続きを読む>………

CW-BTA

1.リターゲティングに使える広告主サイト内行動履歴

広告主サイトやECサイトを来訪した消費者の下記のような行動履歴を有効に活用して、同じサイトに来訪しやすいか、売上増につながるような広告を、サイトを離れた後に掲載
できます。

 ①購入した
 ②ショッピングカートに入れるが購入せず
 ③ユーザー登録したが購入せず
 ④興味深く、様々な商品/サービス情報を見てくれたが購入せず

各行動に対して、想定される広告は、

 ①アップセルやクロスセルを誘引する広告
   ・PC購入者に対して周辺機器や保守契約を進める広告
   ・航空券を購入したものに対して、ホテルやレンタカーを進める広告
 ②カートに入っている商品のディスカウント広告
 ③登録者向けのディスカウント広告
 ④興味をもった商品/サービスのディスカウント広告

SpecificMEDIA社retargeting.com のサイト、わかりやすいアニメのデモがあります。

2.リターゲティングで気をつけるべきこと

(1)購買サイクルを考えて旬なうちに広告に出会うようにコントロールする
    商品を探し初めてから決定するまでの平均的な期間や、アップセル・クロスセルをオファーするのに適した期間、特定商品カテゴリの平均的な購買サイクルなどをよく考えて、広告掲載場所にひっかかる程度の広告露出を考える。

(2)Retargeting 広告を出しすぎない
    上記とは逆に広告の出しすぎも逆効果なので、フリーケンシーコントロールにより、リターゲティング広告掲載回数を制限する。

(3)消費者が行動収集をオプトアウトする仕組みを作っておく
    匿名性を利用した行動ターゲティング広告ではあるものの、消費者心理を考慮し、履歴収集に関するサイトポリシーの掲載とともに、オプトアウト機構も必要。

3.リターゲティングでの検索行動履歴の活用

 検索行動履歴については、ウェブブラウザのツールバー上にも検索窓があったり、広告主サイトやECサイト内にも検索窓があったりするので、これらを区別せずに、検索履歴全体を活用することが有効かもしれません。また、広告主サイト内行動履歴と組み合わせて利用することも考えられます。

 Revenue Science社のサイトに、シンプルな Search Behavioral Targeting のわかりやすいアニメのデモがあります。

(付録) 従来型の媒体社サイト上での閲覧履歴に基づく行動ターゲティング広告を、「視聴者ベース行動ターゲティング広告(Audience-based Behavioral Targeting Ad)」とか、セグメント型行動ターゲティング広告(Segment-based Behavioral Targeting Ad)」と呼ぶことがあります。

<参考文献> Behavioral Retargeting 101Retargeting Saves MoneyMaximize Web Encounters by Retargeting

<2007/2/7追記> 

 2/7にDACから発表された「行動ターゲティング by クライアント」は、リターゲティング広告の一種です。

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「リターゲティング(Retargeting)」 ~もう一つの行動ターゲティング広告~ への7件のフィードバック

  1. デジタルな広告たち のコメント:

    行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting)

    バナー広告などのWeb広告において、従来「ターゲティング広告」というものは、媒体の内容により「広告掲載面を分類」し、その広告掲載面に適した広告を配信するにより、広告効果を向上させようというものでしたが、「行動ターゲティング(Behavioral Targeting)広告」では、Web視聴者の行動履歴をもとに「Web視聴者を分類」し、そのWeb視聴者に適した広告を配信するものです。…

  2. デジタルな広告たち のコメント:

    ad:tech San Francisco 2006 速報 (その5) 「行動ターゲティング広告」

     この日2つ目のKEYNOTE PRESENTATION は、「Mastery Series: It’s All About Targeting」というパネルで、パブリッシャーのNew York Times社、広告主のHyundai Motor America社、広告ソリューション会社のEchoTarget社のディスカッションを eMarketer のCEOのGeoff Ramsey氏が司会で進めました。
     途中、驚いた数字が二つ。時差ぼけで聞き間違い、見間違いをしていなければよいのですが、(1)「…

  3. デジタルな広告たち のコメント:

    サイバーウィング、行動ターゲティング広告配信サービスCW-BTAを開始、動画CMにも対応

    3月15日に、サーバーウィング社から”行動ターゲティング広告配信基盤サービスを開始~国内初、行動ターゲティング動画CM配信も実用化~”のプレス発表をしました。翌日、日経産業新聞に「サイト利用者の行動判断 広告表示最適に」と見出しで、日刊工業新聞には「視聴者履歴で広告配信」というタイトルで記事掲載されました。…

  4. デジタルな広告たち のコメント:

    行動ターゲティングを5タイプに分類

    行動ターゲティングに関する国内の動きが活発化し、様々名タイプの行動ターゲティング技術・サービスが発表されていますが、これらを、「行動把握サイト」「広告掲載サイト」「行動する人の推定」という3つの軸で、思い切って5つのカテゴリに分類してみました(6月6日の日経BP社主催 Net Marketing Forum で講演した「行動ターゲティング広告の設計手法と活用事例」からの抜粋です)。…

  5. デジタルな広告たち のコメント:

    BIGLOBE大型ディスプレイ広告「ブランドゲート」登場、行動ターゲティング広告でも活用可

    来年1月から、BIGLOBEのジャンル別サイトで、大型ディスプレイ広告「ブランドゲート」が導入されます。「ブランドゲート」は、横300×縦250ピクセル、最大1.8MBという大型・大容量な広告仕様で、30秒までの映像広告にも対応できます。…

  6. ネット広告の新たな手法

    患者向けのコンテンツには相応なコストをかけていながら、そのサイトを見てもらうための努力(広告)には、ほとんど、コストをかけていないとのことでした。

  7. デジタルな広告たち のコメント:

    「行動ターゲティング広告の自主規制プログラム」を米メディア/マーケティング業界が策定

    米国のメディア/マーケティング業界団体が「行動ターゲティング広告の自主規制プログラム」(Self-Regulatory Program for Online Behavioral Advertising)を策定しました。このプログラムは、Advertising Option Icon, http://www.AboutAds.info, Consumer Choice Mechanism, Accountability and Enforcement, Educational Campaign の5つの重要なコン…

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