5/31に野村総研が発表した、「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ~HDRユーザの過半数がテレビCM80%スキップ、今年の損失総額は約540億円に~」は、たいへん業界インパクトの大きい発表でした。発表の持つ定性的な意味はよく理解できますし、ネット広告業界に生きる身としては、「その通り!」と言いたくなりますが、プレスをよ~く見ると、計算方法にやや疑問があるのと、もう一歩踏み込んで調査して欲しかったと思うところがあります。
今回の計算の【前提】は、
①HDR利用者の平均CMスキップ率=64.3%
②HDR利用者の平均録画消費率=34.2%
③HDR普及率(04年度と05年度の平均値)=11.9%
④テレビCM市場規模=2兆436億円
で、結果=①×②×③×④≒540億円のCM価値損失という推定です。………
疑問は、②の「録画消費率」というものの定義です。もし、これが「HDR利用者のリアルタイム視聴も含めた全視聴時間に対するHDD録画番組視聴時間の比率」なのであれば納得するのですが、文面だけからだと「HDR利用者の総録画時間に対する録画番組視聴時間の比率」のように見えます。
また、もう一歩踏み込んで調査して欲しかったのは、世帯普及率8割を超える普通のVTR利用者でのCMスキップの影響と、VTR、HDR、TVのみ利用者のリアルタイム視聴時間と録画視聴時間の比率です。世帯普及率1割のHDRでのCMスキップは「完全スキップ」でCM価値損失率が100%ですが、VTRでの「不完全スキップ」でもある比率のCM価値損失はあり、これらすべてのTV視聴をとらえたCM価値損失推定ができればフェアな気がします。
6/29には、矢野経済研究所からも「2005 視聴スタイル動向調査~HDDレコーダーによるテレビ視聴変化 消費者および広告主への調査~」という調査レポートが出ていますが、ここでは、単純に「CMスキップ率7割」というデータが出ています。
テレビ広告費は5年以内に30-40%にまで落ち込むと、米大手代理店CEOが予測
注目の記事概要】「米最大の広告代理店J.Walter ThompsonのCEO、Bob Jeffereyは、ロイターのインタビューに答え、現在広告費の70-80%あるネットワークTV予算は、5年以内に30-40%に落ちるだろう、と語った。」
この記事、さらっと書かれてますが、広告業界の天地がひっくりかえるぐらいすごいコメントを、米最大広告代理店のCEOが発言してるところがすごいですね。…
国内インターネット広告費、ラジオ広告費を超える
2004年の国内インターネット広告費が1814億円になり、同年のラジオ広告費である1795億円を超えたことが明らかになりました。また、インターネット広告費は昨年比で50%以上の伸びを示したことになります。この数字はいろいろな見方ができます。…
テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で、弊社「ネットシネマ」が紹介される
先週の火曜日、テレビ東京・報道局経済部から突然電話があり、「御社の映像広告商品ネットシネマでは、プロダクトプレイスメントの手法が使われているか?、また、明日取材で明日放映可能なネットシネマがあるか?」との問合せがあり、急ぎ関係各社と調整し、取材に応じることにしました。新聞取材は何度もありますが、テレビ取材は初めての経験で、サイバーウィング社にテレビカメラが入ったのも初めてでした。…
インターネット広告市場規模、09年には5000億円を超え、5年間で3倍以上成長
7/20に電通総研から、「2005年~2009年のインターネット広告費に関する試算」が発表されました。従来、何度かシンクタンクから市場予測は出ていたものの電通グループから5年にわたる予測が出るのは初めてではないかと思います。しかも、最近の各社からの市場予測データはもう少しコンサバティブなものが多かったですが、今回の発表では2009年には5660億円で2004年の3倍以上というかなりアグレッシブな予測になっています。…
大学生のネット視聴時間は、テレビ視聴時間と同程度かもしれない
この講義を始めた3年前では、インターネットの視聴時間がテレビの視聴時間の数分の一にまで追いついてきている過程そのものがおもしろい話題でしたが、教室での挙手による即席アンケートでは、学生の半数が「テレビとネットの視聴時間が半々」という感じであり、数年の間に相当ネット視聴時間が進んだことが感じられました。中には、インターネット視聴時間が100%という強者もいたりしましたが、確かにテレビがなくてもテレビ・ニュースや新聞情報はインターネットで十分読めますから、その意味でテレビがなくても困らなくなっているの…